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シールの設計に大切な要素、化学的適合性について

Chemical Compatibility: A Critical Component in Seal Design シールの設計に大切な要素、化学的適合性について - Beaker with various chemical components - Parker ORing Division Oリングアプリケーションエンジニアが頻繁に質問されることは、「○○(ポリマーの名称)Oリングは○○(化学物質の名称)に適合しますか?」という内容です。化学的適合性は、シールを設計する際の2つの最も重要な要素の1つです。もう1つはサイズです。適切なコンパウンドを選択することは、一般的に設計者にとっては、大きな課題になるでしょう。ゴム材でもたくさんのコンパウンドがあり、何百、何百もの化学物質がありますので、選んだシールが用途に耐えられるどうかをどのように知ることができるでしょうか。では、それを理解するための簡単で定量的な方法をお教えしましょう。

パーカーOリングハンドブック

パーカーが持っている、化学的適合性の情報を紹介することから始めましょう。パーカーOリングハンドブック(ORD 5700)には、専用のセクションがあり、その中に何百、何百もの化学物質が載っています。セクションVII「ガス、流体、固体の適合表」には、特定の化学物質がリストになっていて、その化学物質に使用する推奨のパーカーコンパンウンドが記載されています。そして、そのセクションの最初のページで説明しているように、4つの評価値が示されています。1は「適合性を満たす」、2は「まずまず適合性がある」、3は「不確かである」を示し、4は「適合性はない」を示します。一般に、1は、その化学物質を使用してほぼすべての科学的モデルでコンパウンドを使用できることを意味します。2は、静的シールにおけるコンパウンドと化学物質との相互作用は概ね良好であるが、動的シールには避けるべきことを意味します。3は、そのコンパウンドと化学物質との相互作用は静的シールでさえも適合性が疑わしいことを示します。そして最後、4は、エラストマーとその特定の化学物質が可能な限り接触しないようにすべきであることを意味します。 ×は、その化学物質とポリマーとの相互作用の十分なデータがなく、明確な格付けを行うことができないことを示しています。1つの化学物質に対する推奨コンパウンドを見つけることはとても簡単になりますが、皆さんが期待するように、常にそうであるとは限りません。様々な流体で、浸漬時間や使用温度がまちまちで、条件が互いに組み合わさったりと、シールを判断しなくてはいけません。ですが、幸いなことに、どのポリマー族がこれらのより複雑な環境でも機能するかどうかを判断する方法があります。

シールで50%の水、20%のエチレングリコールと30%の無水アンモニアの混合物の例を考えてみましょう。 このシールのためにどのコンパウンド族が最も良いのかをどうやって決めるでしょうか? 経験則としてはEPDM、ニトリルおよびFKMでやってみることです。 これら3つは、一連の化学的適合性を代表するものです。 EPDMは水ベースの化学物質とより適合性があり、FKMは石油/炭化水素ベースの化学物質とより適合性があり、ニトリルはその真ん中です。

Relative Chemical Resistance - シールの設計に大切な要素、化学的適合性について

 

計算

まず、記載されている各化学物質のFKMとの適合性を決めていきます。 OリングハンドブックのVII章にはさまざまな種類の水(DI水、ボイラー給水、海水など)が載っていますが、この例では通常の水を使います。 「水」列と「FKM」列が交差するところを見つけると、2です。この番号を記録しておきましょう。後でそれを使用します。次に、「エチレングリコール」を見つけて、その行とFKMが交差するところをみます。これには1と書かれています。最後に、無水アンモニアのFKMの適合性を見てみましょう。同じ方法を使用すると、4となっていることがわかります。原則として、混合化学物質がポリマー族と4またはX(データなし)と評価されている場合、それが微量といってもそのシール用途としては使うべきではありません。とにかく、FKMとの適合性を判断するための計算方法にいきましょう。

一般的な原則として、混合物中にその化学物質が何%の組成になっているかのそれぞれの値を小数点で、それらの化学物質のポリマー族との評価値(1, 2, 3, 4)と掛け算するということです。すると、FKMの計算は次のようになります。

0.5 * 2 + 0.2 * 1 + 0.3 * 4 = 2.4

すべての小数点の値の合計は1(混合物の100%)になり、この評価値は一つの混合物の評価値と同じになります。化学物質が特定のポリマーですべて1の評価値を持つ場合、最終値も1になります。すべての化学物質が4の場合、最終値は4になります。最終値が1に近いほど良いのです。この場合、2.4は高い値ではなく、いくつかの場合には許容されるかもしれないが、無水アンモニアで4の評価値なので、FKMは推奨しない、という結論になります。

この計算をニトリルとEPDMについて繰り返してみましょう。 ニトリルの場合、同じ方法を使用して、水で1、エチレングリコールで1、無水アンモニアで2であることがわかります。 ニトリルの適合性の計算は、

0.5 * 1 + 0.2 * 1 + 0.3 * 2 = 1.3

1.3の評価値は非常に優れた評価であり、ニトリルのコンパウンドがこの化合物で良好に作用することが期待できます。 EPDMで同じ計算をしてニトリルよりも優れているかどうかを見てみましょう。 水、エチレングリコール、および無水アンモニアとのEPDMの適合性評価を見ると、それらの化学物質ごとに1の評価値が与えられています。 すると計算は非常に簡単です。

0.5 * 1 + 0.2 * 1 + 0.3 * 1 = 1

よってこの化合物のアプリケーションには汎用EPDMコンパウンドが最適なポリマー族といえます。

ブチル、水酸化ニトリル、ネオプレン、ポリアクリレートなどの他のポリマー族が特定の用途に「最適」である場合がありますが、通常、シールが特殊な化学物質に接触するなど、他のアプリケーションを考慮しないといけない場合があります。 一般的なルールとして、上の3つのポリマー族について計算を実行することから始めると、それらのうちの1つが「最も適合性がある」と計算され、評価のよい出発点なるとおもいます。

 

関連情報:

パーカーOリング eハンドブック

パーカーOリング事業部サポートページ

パーカー シール技術ブログページ(英語)

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